2019年05月08日
Q:一度した相続放棄を撤回して、遺産分割協議に参加することはできるのでしょうか?(古河)
先日、古河市に住んでいる母が亡くなり、母の相続人は母の子どもである私たち3人の姉妹です。私自身は成人後、古河市の実家を離れ、その後結婚した後も、母とは離れて生活し、晩年の母の介護等は古河市に住む他の姉妹にお願いしていました。そのような事情もあり、私自身、「私以外の姉妹が母の遺産を相続するべき」と考えましたので、早々に相続放棄の手続きをしました。その後、私以外の姉妹で遺産分割協議を進めていましたが、私自身も母との思い出にもなる母の遺産を少しでも相続したいと考え直すようになりました。一度した相続放棄を撤回して姉妹と一緒に遺産分割協議をすることはできるのでしょうか?(古河)
A:一度した相続放棄を撤回することはできません。
相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりませんが、一度、相続放棄をすると、相続放棄ができる3か月の期間内だったとしても、撤回(一度した相続放棄を将来的になかったことにすること)はできなくなります。
したがって、ご相談者様は、一度した相続放棄を撤回してご姉妹と一緒に遺産分割協議をすることはできないことになります。
なお、以上の「撤回」とは異なり、相続の放棄に際して誰かから詐欺を受けたり強迫をされたという事情があった場合のように民法で認められた一定の事由があるときには相続放棄の取消し(一度した相続放棄をさかのぼってなかったことにすること)が認められています。
ご相談者様の事例では、上述の民法で認められた相続放棄を取り消すことができる事情はないと思いますので、相続放棄の取消しもできないと思われます。
このように、一度相続放棄をしてしまうと、その後翻意して相続放棄をなかったことにすることは大変難しくなります。相続放棄ができる期間は「自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」と短いですが、よく熟慮して判断しなければなりません。
相続放棄の判断に際しては、遺産状況の詳細な調査なども必要になりますので、ご自分が誰かの相続人となった場合には早々に専門家のサポートを受けて相続手続きにのぞまれることをおすすめします。古河市近隣にお住まいの方は、ぜひ、栃木・小山相続遺言まちかど相談室までご相談下さい。
2019年04月05日
Q:婚姻前に交際していた女性との間の子どもに、自分の遺産を相続させることはできるのでしょうか(結城)
私は結城市に住んでおりますが、昨年、妻を亡くし、妻との間には子どもが1人います。妻の葬儀や法要などをすませ、生活が落ち着いてきた先日、突然、妻と結婚する前に交際していた女性から連絡があり、実は、私との間に生まれた既に成人している子どもが結城市内に一人おり、私が亡くなった際には、私の遺産をその子どもにも相続させてほしいと言われました。私は、その子どものことをまったく知らずに今まで過ごしてきましたが、その女性からその子どもの写真を見せてもらったところ、私と顔つきが似ていたこともあり、その子どもにも私の遺産を相続させたいと思うようになりました。このような今までその存在すら知らなかった妻以外の女性との間に生まれた子どもにも、妻との間の子どもと平等に私の遺産を相続させるためには、何か手続きを取る必要はあるのでしょうか。(結城)
A:認知しなければ父親の法定相続人とはなりません。
奥様との結婚前に交際していた女性との間のお子さん(以下、「Aさん」とします。)は、「認知」という手続きをしなければ、ご相談者の方が亡くなった際の法定相続人は、亡くなられた奥様との間に生まれたお子様お一人だけであり、Aさんは法定相続人とはなりません。
婚姻していない男女間に生まれた子は、法律上、「嫡出でない子」と呼ばれますが、この「嫡出でない子」と父親との間には認知の手続きをして初めて法律上の親子関係が発生します。法律上の親子となったことで、「嫡出でない子」は父親の法定相続人となるご自身の子どもとなり、配偶者との子どもと平等に父親の相続権を持つことになります。
父親ご自身でできる認知の手続きとして、戸籍法の定めに従って、認知届を市区町村役場に届け出る方法があります。なお、ご相談の場合のAさんの様に、認知しようとする子どもが成年の場合には、その子どもの承諾を得る必要があります。
また、ご自身が生きている間は、嫡出でない子がいることをご家族に知られたくないとお考えの場合には、Aさんを認知する内容の遺言書を残しておいて、ご自身が亡くなった後に、遺言執行者に認知の届出手続きをしてもらうこともできます。
様々なご家族の事情があると思いますので、法定相続人となる方についてお悩みの事情がある結城市近隣にお住まいの方は、ぜひ、栃木・小山相続遺言まちかど相談室までご相談下さい。
2019年03月11日
Q:相続が発生しましたが、遺産分割の内容に納得がいきません(古河)
先日古河の実家に住む父が亡くなりました。母は既に亡くなっており、兄2人と私で遺産分割協議をする事になりました。
兄たちからは法定相続分でそれぞれ相続するという提案をされました。しかし、父の生前に長男は古河の実家近くに自宅購入しておりその時の購入費用について、次男は事業資金をそれぞれ父から援助されています。生前に援助を受けた兄たちと、何の援助もなかった私が同じ法定相続分で遺産を分割されるのは面白くありません。何とかならないでしょうか?(古河)
A:相続が発生する前(生前)に受けた財産は特別受益に当たります。
相続人が被相続人から生前に特別に贈与を得ていた場合、その利益については特別受益として扱われます。この特別受益が認められると、その相続人の特別受益分の金額が、特別受益者の遺産の取得分から減額をされます。
遺産は相続人全員の話し合いをもって自由な割合で分割することができます。しかしながらお兄様たちが主張されているように遺産を分ける時に割合の目安となる「法定相続分」が民法に定められています。しかし今回のご相談者様のように、特定の相続人が明らかに高額な生前贈与を受けていた場合では、法定相続分での相続をすることによって相続人の間に不公平が生じてしまう事になります。そこで民法では特別受益といった配慮がなされており、特別受益が認められる場合には遺産の取得分を減らすことで相続人同士の公平をはかっています。
いずれにせよ遺産分割協議では相続人全員の合意が必要となりますので、ご相談者様のように分割の内容に納得がいかない場合は遺産分割協議を終えることができません。まずは特別受益を主張して、お兄様たちと折り合いがつく方向で話し合いを進めましょう。
また、遺産分割協議書は一度同意をして協議書を完成させてしまうと取り消すことが大変難しくなります。遺産分割協議に納得が出来ない場合には絶対に署名・押印を行わないようにしましょう。
遺産分割協議がうまく進まない場合には専門家に相談をして進める方法もあります。相続でお困りの方で古河にお住まいの方はぜひ当相談室までご相談下さい。お役に立てるようサポート案を提案させて頂きます。
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